人類は進化していく過程で、常に植物の力を借りてきました。古くは民衆の心をしずめるために、さらには病める人の治療薬として、また食卓を豊かにする調味料や保存のための殺菌剤としての役割も果たしてきました。
近代になり科学が進歩し、薬をはじめ、ありとあらゆるものが合成可能となった社会では、人は植物との結びつきを忘れたかのように暮らしていますが、人は植物なしでは生きていくことができません。
いつの時代も人に力を与え、疲れを癒してくれるのは植物を含む大自然、そこに近い場所にいるほど健康に近づくと考えられますが、都市部でそれはなかなか難しいですよね。
植物を身近に生活することが難しい方は、部屋に1鉢植物を置いてみましょう。小さなもので構いません。
日々の中に生じるちょっとしたイライラやモヤモヤは、心身に思った以上の負荷を与えています。1日の終わりに心とからだの様子を眺め、違和感を持つ部分があったら早めのケアを。植物の力を借りて、整えていきましょう。
からだへと関心を向ける
折しも2月の立春からは暦上では春とされ、四季の立ち上がりを迎えています。草木の芽吹きと同様に、冬の間、停滞気味になっていたわたしたち人の細胞も少しずつ活発になっていきます。
その動こうとする力に身体が対応しきれていない時に起こるのが、めまい、無気力、不安感、不眠などの自律神経系にまつわる不調です。例年2~3月の体調について思い当たる方もあるのではないでしょうか。
ロシアのスポーツ選手や宇宙飛行士が体力維持のために飲用していたことで知られる「エゾウコギ」というハーブは、別名シベリア人参とも呼ばれ、神経系、免疫系、ホルモン系などあらゆる機能を高め(=アダプトゲン作用)、この時季の体調管理や感染症の予防にも役立ちます。他に風味の良いハーブティーとして近年人気のホーリーバジルにも同様の働きがみられます、これらを活用してみて下さい。
エゾウコギ
科名:ウコギ科 使用部位:根、根茎、茎
活用法:ハーブティー(ドライハーブ2~3gに熱湯を注ぎ、5~10分蒸らす)チンキ剤にしても
花粉症へと対応するハーブ
日本気象協会によると2021年の花粉飛散量について、九州から関東おいては前シーズンより多いとの予測がされています。
鼻がぐずぐずする時にスッキリするハーブは、エルダーフラワー、ルイボス、ペパーミント、ネトルなどいくつか挙げられますが、その中でもオススメなのがペパーミントです。
お湯を注いでティーにすると、スッとした香りが蒸気と共に立ち上り、辛い鼻のぐずぐずがいくらか楽に感じられます。また爽やかな香りは気分もスッキリさせ、実は優秀なメディカルハーブとも言われています。
栽培も簡単ですので、一家に1苗、常備されるといいのではないでしょうか。ミント類には様々な種類がありますが、ペパーミントがおすすめです。苗をお求めの際は、間違いのないようにして下さい。
ペパーミント
科名:シソ科 使用部位:葉
使用法:
ハーブティー ハーブ2~3gに対し熱湯150mlで5分抽出。
チンキ剤 ペパーミントの抽出には度数40%以上のアルコールが望ましい。
飲用の他、マウスウォッシュとしても活用できる。
栽培: 強い乾燥が苦手、プランター栽培時は水切れに注意する。
収穫: 若い葉を摘み取る。(蕾や花をつける頃は風味も効能も劣ります)
最後に一言…
人に本来備わっている健康や美しさを引き出すのは、日々の積み重ね
良い習慣を身につけ、心地よく生きていきましょう。
水野さと美 シュクレ メディシナルハーブ主宰
自身の片頭痛やアレルギー体質がハーブにより改善していった長年の経験を踏まえ、ワークショップや専門講座の開催、ならびにハーブブレンダーとして活動しています。
日本メディカルハーブ協会ハーバルセラピスト/中部地区委員
日本アロマ環境協会アロマテラピーインストラクター
漢方医学研鑽会メンバー
シュクレ メディシナルハーブ https://sucre.storeinfo.jp/
Instagram https://www.instagram.com/sucre_medicinal_herbs/