身近な和ハーブの代表として、一番に思い浮かぶヨモギ。
食べてよし、飲んでよし、浸かってよし、塗ってよし、嗅いでよし、燃やしてよしの5拍子揃ったハーブです。ヨモギには様々な種類があり、一年を通して様々な形で使うことができます。
今回は、ヨモギの見分けかたと使い方をご紹介します。
春には、白っぽい緑色の若葉が出始めるヨモギ。
ヨモギはキク科のヨモギ属。ヨモギの仲間は日本に30種類以上あります。
一般的によもぎ餅やお茶などで使われるヨモギは「カズサヨモギ」と呼ばれるものです。
ほかにもお灸の艾(もぐさ)にするものは「オオヨモギ」。
沖縄で“フーチバー”と呼ばれ、沖縄のスーパーや市場でも購入できる「ニシヨモギ」があります。
沖縄では、ジューシー(炊き込みご飯)やヤギ汁などにも使用されています。私はニシヨモギの雑炊をいただいたことがあります。香りがよく、苦みも少なくて、とても食べやすいヨモギでした。
また河原や海岸の砂地に生える「カワラヨモギ」の乾燥した花穂は茵蔯蒿(いんちんこう)という名の生薬として漢方薬にも使われています。
そして、ハーブの世界で「マグワート」と呼ばれているのは「オウシュウヨモギ」のことを言います。
私たちに一番身近な「カズサヨモギ」
・カズサヨモギの見分け方
・ヨモギの効果
・ヨモギの使い方
ヨモギの香りはするか?
野草を見分ける時にとても大切なのが“香り”。
食べる野草を摘む時に目だけで判断するのは危険なことがあります。ヨモギの若葉は、猛毒トリカブトと似ているといわれていますが、トリカブトにはヨモギの香りはしません。
ヨモギの葉を摘んだら、ヨモギの香りがするか、必ず揉んで香りを確認してみましょう!
葉の裏に白い毛は生えているか?
ヨモギの葉の裏には必ず、お灸のモグサ(艾)の材料になる白い毛が生えているので、目と触感でチェックしましょう。
托葉はついているか?
ヨモギは葉の付け根に“仮托葉”(たくよう)という小さな葉がつくのも特徴です。若葉の時しか見分けがつかないという方は、仮托葉を確認してみてください。
ヨモギの効果
クロロフィルやタンニンのほか、有効成分の宝庫のヨモギは乾燥したものだけではなく、生葉も大変優れています。指を切って、血が止まらない時に揉んでつけたら血が止まったことや、私の講座に参加されていたお子さんが腕を毛虫に刺されて発疹が出た時に生葉を揉んでつけて、手ぬぐいで巻いておいたら15分ぐらいで落ち着いたことがありました。
一般的な効能としては、
生葉を揉んで貼ると、止血のほかにも虫刺され、切り傷、打撲傷や腫物。煎じて飲むと強壮、健胃、去痰、止血、腹痛、風邪、食中毒、冷え性などほかにも色々な効能があるといわれています。
浴湯料としては、あせも、冷え性、腰痛、リウマチ、美容などにもよいそうです。
(出典「食べる薬草事典 春夏秋冬・身近な草木75種」村上光太郎 著)
ヨモギの葉の季節ごとの使い方
自然の中の植物は季節や環境によって、味も薬効も変わっていきます。
春から秋にかけて紫外線が強くなることや虫や病気などから身を守るために植物にとって有害なものから体を守るため作り出される成分、ポリフェノールなどのファイトケミカルを多く作るため、アクや苦みが強くなっていきます。
同じ土地でも日陰と日向では味や香りに違いが出てくることがあります。
ヨモギの葉には、季節に応じた成分と体調に合わせた使い方がありますので、それぞれご紹介します。
ヨモギ茶
花のつく前、6~7月頃に成長した茎葉をよく乾燥したものを、生薬で艾葉(がいよう)といいます。お茶もこの時季に作ると薬効が強くてよさそうですが、アクの強い場合もあるので、4~5月ぐらいに採取するヨモギが飲みやすくてオススメです。
また、夏場に剪定した後に出てきた9月以降の葉でも大丈夫です。秋は花の香りが強いので、ヨモギの花茶もおすすめです。フレッシュでそのままお湯を入れても飲めますし、アクが強い時は蒸したり、軽く炒ると飲みやすくなります。自分がどの季節のヨモギが好みか、毎月お茶を作って試しに飲んでみてはいかがでしょう。
お菓子
3月~4月頃の春のヨモギはアクが少なく、生でも食べられるぐらい、風味も色もよいので、お菓子作りにぴったりです。ヨモギはさっと5~10秒ぐらい茹でてから、細かく刻んで使います。
よもぎ餅のほかに、パンケーキやパウンドケーキなどの生地に入れたり、ういろうも家で作れます。毛が多いのでモチモチした触感になるのが特徴です。
ただし、茹ですぎると香りも成分も無くなってしまうので要注意!さっと茹でたものは冷凍して保存しておくこともできます。
料理
もっちりして、風味もよいのが天ぷらです。ほかにもバジルと同じように、オリーブオイルやニンニク、白ごまなどと一緒にミキサーにかけて、ジェノベーゼソースを作るのもおすすめ。チヂミやパンにいれても美味しいです!
浴用
5月の節句にショウブと一緒に入れる習慣があることをご存じですか。
ヨモギ湯には、美肌作用があり、身体を温め、香りもよくリラックス効果が高いと言われています。香りを楽しむなら、生のままでもよいですが、乾燥したヨモギを鍋で煮出した濃い液を入れると肌にもよいでしょう。
草木染
5~6月ぐらいまでのヨモギなら生葉で、または乾燥した葉でも染めることができます。季節によりますが、ミョウバン媒染だと若草色系、鉄媒染ではグレー系に染まりやすいです。
チンキ/クリーム
5~6月頃のヨモギの生葉をホワイトリカーなどのアルコールに漬けてチンキ剤にします。私は、ヨモギのチンキ剤を虫さされによるかゆみ止めや化粧水の材料として活用しています。また、太白ごま油とヨモギを湯煎にかけて抽出したヨモギオイルはシアバターや蜜蝋と混ぜ、クリームにしてお肌の手入れやかゆいところに塗っています。
お灸
夏の土用の頃に刈り取り、陰干しして乾燥した葉をすり鉢ですり、ふるうことを何度も繰り返し、裏の白い毛だけを集めて、艾(モグサ)を作ります。自分でお灸をする時は、火傷をしないようにショウガのスライスや味噌の上にのせて使っています。
ヨモギの使い方はたくさんありますが、私が実践しているものをご紹介してみました。
うららかな季節、まずはお散歩がてら、ヨモギを見つけるところからはじめてみてください。
◆参考文献
「和ハーブ図鑑」:古谷暢基/平川美鶴 《一般社団法人和ハーブ協会》
「食べる薬草事典 春夏秋冬・身近な草木75種」 村上光太郎 著
◆参考
「イー・薬草・ドット・コム」https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crudem/140528/index.html
「wikipedia」ヨモギ - Wikipedia
*一般社団法人 和ハーブ協会 https://wa-herb.com/waherb3/waherb3/
では、「和ハーブ」を「在来種(日本原産)、あるいは江戸時代以前より日本に広く自生している有用植物」と定義しています。
筆者 半谷美野子
「人と自然をつなげる、伝える」ことがライフワーク。愛する自然を後世に残すため、多くの方に身近な自然の素晴らしさ、大切さを知って頂きたいという思いから、植物や生き物について五感を通してワクワクするワークショップを主に愛知、岐阜で開催。あいち健康の森薬草園にも勤務。
森林インストラクター、JAAアロマコーディネーター、和ハーブインストラクター
造園施工管理士、ビオトープ施工管理士、学芸員