まだ誰も入浴していない、まっさらなお風呂である一番風呂。
一見、キレイで気持ちよさそうに見えますが、身体にとっては、あまり良くないということをご存じでしたか。今回は、この一番風呂についてお話させていただきます。
一番風呂は身体に良くない
皆さんは、一番風呂お風呂に入った際に、肌がピリピリと感じたことはありますか?肌の敏感な方や乾燥肌の方は感じやすいかもしれません。この肌に刺激を感じることが一番風呂において「身体に良くない」と言われる理由です。
水に含まれるミネラル成分は、雨水などが大地にしみこみ川となって流れていく過程で、地層などに含まれる成分が溶け込んだものです。
日本は、密度の低い透水性の高い火山性の地層が多いため、地下水の滞留時間が短いこと。また、川の水も土地が狭く傾斜も急なため、海までたどり着くのが早く、ミネラル分を多く含むことなく海に流れ出てしまうため軟水になる地域が多いのです。よって、ほとんどの家庭の水道水にはミネラル分がほとんど含まれません。当然のことながら、一番風呂の湯にも同じことが言えます。
世界一安全と言われる日本の水道水
日本の水道水は世界一安全と言われ、全国どこでも安心して飲むことができます。菌の繁殖を防ぐために微量の塩素が含まれていますが、水道法に基づき厳しく品質管理がされているため飲用することができます。しかし、肌が敏感な方には、この微量の塩素でも肌に刺激を感じたり、肌荒れを起こしたりします。
一方、人の皮膚には、細胞や血液などの体液があり、この体液にはたんぱく質やミネラル分などが含まれています。この体液は、水道水よりも濃度が高いため、体液よりも濃度の薄い水道水は皮膚の中まで浸透します。この現象により、肌の敏感な方は肌にピリピリとした刺激を感じるそうです。刺激を感じない人でも、指先がふやけてシワシワになったりしたことはありませんか。その現象も、水道水が皮膚に浸透することによって起こります。
では、二番風呂はどうでしょうか。二番風呂では、湯の成分が異なります。人はお風呂に入るだけでも皮膚表面の汚れが取れます。一番風呂に入った人の汚れ(アカ、皮脂、汗、古くなった角質など)が湯に溶け込むことにより湯の濃度が濃くなります。また、この汚れが塩素の働きも弱くしてくれます。以上のことから、肌に優しい湯へと変化するのです。
二番風呂のようなお風呂にする方法
ただ、二番風呂に入りたいと思っても、誰かが一番風呂に入らなければならないですよね。一人暮らしの方は、一番風呂しか入れません。また、二番風呂が良いとわかっていても、湯の汚れが気になって入れない方もいるでしょう。この解決策として、入浴剤を使用する方法があります。
入浴剤には、ミネラル分などの成分が配合されており、湯に溶かすことにより二番風呂と同じような湯質にすることができます。また、多くの入浴剤には塩素を中和する成分も含まれているので、肌へのピリピリとした刺激を和らげることができます。
最近は、浴槽に悪いとの理由で入浴剤を使わない人もいらっしゃいますので、別の方法もご紹介します。ビタミンCを多く含むレモン汁やユズ皮、ミカンの皮など柑橘系の皮を入浴剤の代わりにお風呂に入れることで湯の塩素を減らすことができます。ただし、肌の弱い方はユズやミカンの皮で皮膚刺激が起こることもあります。私は、ユズで皮膚刺激が起こりやすいため、ユズ皮を陰干しでカラカラに乾燥させてから使用するようにしています。
他に、大さじ2杯程度の砂糖をお風呂に入れるのもオススメです。黒糖やきび砂糖、てんさい糖などミネラル分の多い砂糖を使えば、二番風呂のようにお湯は柔らかくなり、また肌への保湿効果も期待できますよ。
一番風呂は怖くない!少しの工夫で、肌に優しいお風呂を楽しんでみてくださいね。
【参考文献】
早坂信哉 「最高の入浴法」大和書房
SUNTORY 水大辞典 https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/
CHIHO.hoshiyama ハーブ&バスセラピスト®
岐阜各務原にある創業25年の風呂屋「恵みの湯」で人気の岐阜産”伊吹薬草湯”に自身の不調を支えられた経験より、日本古来から伝わる植物浴の素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいという想いからHERB&BATHプロジェクトを始動。
入浴で身体を温める大切さを伝えるバスセラピストとして、植物の活用を広げるハーバルセラピストとして活動中。また、自社ハーブ農園にて農薬を使用せず様々なハーブを栽培しています。
温泉入浴指導員・温泉ソムリエマスター
JAMHA認定ハーバルセラピスト
JAMHA認定ハーブ&ライフコーディネーター
JAPHY認定 ハーブティーソムリエ