和ハーブインストラクター半谷美野子さんに学ぶ 「和ハーブを身近に感じる」

和ハーブインストラクター半谷美野子さんに学ぶ 「和ハーブを身近に感じる」

和ハーブとは、どのような植物があると思いますか。
ヨモギやドクダミ、シソ、ユズ、サンショウ、ショウガなど、日本に古くからある、日本人が自然と暮らしに取り入れてきた植物たちのことです。一般社団法人 和ハーブ協会では、「在来種(日本原産)、あるいは江戸時代以前より日本に広く自生している有用植物」と定義されています。

そんな植物たちも、育つ環境はそれぞれ。自分たちの好きな場所を見つけて自生し、そこかしこに存在します。

今回は、身近にある和ハーブの活用法を和ハーブインストラクター半谷美野子さんお聞きしました。

 

日本ハッカ
日本ハッカ 赤丸ハッカ

日陰が好きなハーブ。西洋ミント(ペパーミントやスペアミント)は日が当たる場所でも大丈夫ですが、日本ハッカは暑い夏が苦手です。西洋ミントよりも深く甘い香りが特徴の日本ハッカは、フレッシュでもドライでも、ハーブティーにするとすっきり美味しくいただけます。食べ過ぎたり、お腹が重いときにもオススメです。

また、抗菌作用も持っているのでティーでうがいをしても良いですね。お風呂に入れて使用すれば、さわやかな香りに癒されます。

 

ジュズダマ
ジュズダマ ハトムギ野生種

湿っているところが大好きなジュズダマは、ハトムギの野生種です。
ネックレスやブレスレット作りに使ったことのある方もいらっしゃると思います。

使用するのは果実の部分。最初は緑色ですが、徐々に艶のある灰色や黒、ベージュ色になります。(画像参照)
灰色になったジュズダマの果実を天日に干して乾燥させると、お茶として利用することができますが、ハトムギより果実が硬いため、果皮を割る作業が大変だそうです。

 

ツワブキ
ツワブキ 葉 半日陰 植物のある暮らし
ツワブキ 花

半日陰が好きな野草。秋に黄色の花を咲かせます。
観葉植物として販売もされていますが、葉茎を食用としても使用できます。

茎はふきのように食べることができるそうです。アクが強いのでアク抜きは必須です。
やけどをした際に、生葉を炙り、患部に貼ったり、おむつかぶれに貼る人もいるそうです。

 

ヤブカンゾウ
ヤブカンゾウ 食用花 エディブルフラワー
ヤブカンゾウ 恋忘れ草

7月~8月にオレンジの花を咲かせます。つぼみはアクも少なくサッと茹でると、シャキシャキとして甘みがあるので、ついつい食べ過ぎることも。

ただし、ヤブカンゾウには利尿作用や緩下作用があるため、食べ過ぎるとおなかが緩くなることもあるそうです。ご注意を。一度に食べる量は、つぼみ5~6個程度までにしたほうが無難です。

また、葉や新芽も茹でて食べることができます。中国では、花を乾燥させたものを「キンシンサイ」と呼び、高級中華料理に使用されているそうです。

 

アカメガシワ
アカメガシワ 蜜腺 アリ
アカメガシワ 赤い葉 枯れ葉

日当たりのよいところに最初に出てくる、パイオニアと呼ばれる植物。ポリフェノールが豊富で、樹皮を乾燥させたものを煎じて飲むと胃腸に良いそう。

ただし、薬学博士の故村上先生よると、アカメガシワはストレスによって起こる各種疾患には効果がないと述べています。そして、入浴の際に塩と一緒に使用すると香りはないが肌にもよく、身体も軽くなるそうです。(薬草を食べる アカメガシワ 著書 村上光太郎)

また、アカメガシワには蜜腺があり、アリが蜜によって来ることで、ほかの虫を寄せ付けないという生存戦略をもっています。新芽の赤い毛をこすると緑色になりますが、赤い毛は若い葉を紫外線や他の虫から自身を守るためだそうで、大きくなると赤くなくなります。
 *一説では虫たちは、赤い葉=枯れていると思うといわれています。

 

カキドオシ
カキドオシ 和ハーブ 人気のハーブ

半日陰もしくは日陰を好むハーブ。さらに、斜面にも繁殖しやすい性質があります。
垣根を通り抜けて、どこまでも伸びていくところから「カキドオシ」と言われるようになったそうです。

4月~6月ごろまで花を咲かせるので、この時期に採取し、乾燥させておくと、お茶や料理に使いやすく保存もしやすいのでおすすめです。

昔から子どもの癇の虫によいといわれている、日本の代表的な民間薬のひとつのカキドオシ。西洋のハーブティーのような香りで好きな方も多く、ジェノベーゼ風のパスタなどにしても美味しくいただけるそうです。

 

ハコベ
ハコベ ミドリハコベ コハコベ 七草粥 春の七草

春の七草のひとつ。ハコベの仲間はたくさんあるそうですが、春の七草によく使われるハコベは「コハコベ」や「ミドリハコベ」だそうです。
また、ハコベとハコベラの違いも述べておくと、ハコベの古い名前がハコベラだそうです。要するに同じものでした。

ハコベは、2月~5月ごろに小さくて可愛い白い花を咲かせます。
食べ方としては、七草粥の他、みそ汁やおひたし、胡麻和えなど。軽く茹でて食べるとシャキシャキとした食感です。胃に優しいので、たくさん食べても大丈夫です。
雑草のように生えているハコベ。ぜひ探してみてください。

 

トリカブト、ゲンノショウコ、ニリンソウ、アメリカフウロ

この4種は、葉の見た目が似ているハーブです。一つ間違えると、毒草になりますので注意が必要です。できれば、つぼみや花をよく確認してから使用しましょう。

トリカブト
トリカブト 有毒植物 ニリンソウと間違える
トリカブト 花 有毒植物

比較的湿気の多い場所を好みます。ドクウツギやドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされ、​トリカブトの仲間は日本には約30種が自生しています。花の時期は、7月~10月ごろ。花の色は青紫のほか、白、​黄色、ピンク色などがあります。


ゲンノショウコ
ゲンノショウコ アメリカフウロ 違い

ゲンノショウコは、センブリやドクダミなどとともに日本の民間薬を呼ばれています。「現の証拠」という意味で、使用すると証拠のように効くということから名付けられました。栽培は簡単で、恵みの湯ハーブ農園の炎天下でも元気に育っています。

ゲンノショウコの花は、東日本では白い花が、西日本ではピンクの花が咲きます。
恵みの湯ハーブ農園のゲンノショウコは、どちらも咲きます。岐阜は日本の中心だからということでしょうか…(本当のところは、わかりません。)

ゲンノショウコの作用はタンニンによるものです。一番タンニン多く含む時期は、花の盛りとなる夏の土用丑ごろなので、このタイミングを狙って採取すると良いでしょう。

乾燥して、お茶として飲む他、生の葉や花を天ぷらにしたりして食べることもできるそうです。もちろん、お風呂に入れて使用するのもOKです。

ニリンソウ
ニリンソウ トリカブト 見分け方

湿ったところが好きなニリンソウは春先に小さな白い花を咲かせます。多くは1本の茎から2輪ずつ花を咲かせ、若葉は山菜として食べられます。ニリンソウの葉は、特にトリカブトの葉と似ているため、つぼみや花の確認は必須です。

 アメリカフウロ
アメリカフウロ ゲンノショウコ 違い

北アメリカ原産のアメリカフウロは、日当たりの良い乾いた場所を好みます。
ゲンノショウコに間違えられることが多い野草ですが、葉と花の咲く時期が違います。

アメリカフウロの葉は、ゲンノショウコよりも切れ込みが細かく深いこと、花は春~初夏に咲くのが特徴です。アメリカインディアンが薬として使用していた記録もあるそうです。

 

西洋のハーブも面白いですが、和のハーブも面白いですね。
しかも、庭や畑、道端で見かけるものもたくさんあります。

秋までは、様々なハーブを見かけることができると思いますので
ぜひ、散歩をしながら、植物の観察をしてみてください。

「参考文献」
薬草を食べる 村上光太郎(薬学博士)
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/

半谷美野子さん
和ハーブインストラクター 森林インストラクター

 「人と自然をつなげる、伝える」ことがライフワーク。愛する自然を後世に残すため、多くの方に身近な自然の素晴らしさ、大切さを知って頂きたいという思いから、植物や生き物について五感を通してワクワクするワークショップを主に愛知、岐阜で開催。あいち健康の森薬草園にも勤務。
森林インストラクター、JAAアロマコーディネーター、和ハーブインストラクター
造園施工管理士、ビオトープ施工管理士、学芸員
Instagram:https://www.instagram.com/kinezumiya/

 

筆者 CHIHO.hoshiyama 
ハーバルセラピスト バスセラピスト chiho

岐阜各務原にある創業25年の風呂屋「恵みの湯」で人気の岐阜産”伊吹薬草湯”に自身の不調を支えられた経験より、日本古来から伝わる植物浴の素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいという想いからHERB&BATHプロジェクトを始動。
入浴で身体を温める大切さを伝えるバスセラピストとして、植物の活用を広げるハーバルセラピストとして活動中。また、自社ハーブ農園にて農薬を使用せず様々なハーブを栽培しています。

温泉入浴指導員・
温泉ソムリエマスター     
JAMHA認定ハーバルセラピスト
JAMHA認定ハーブ&ライフコーディネーター
JAPHY認定 ハーブティーソムリエ

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