ヒートショックプロテイン(HSP)の入浴法を公に広めたいと研究している、
HSPプロジェクト研究所所長 医学博士 伊藤要子です。
活動を初めてからはや20年近くなりました。この間に、夏の外気温は明らかに高くなりました。
また、夏と冬の外気温の温度差は30℃近くあり、HSP入浴法を夏・冬同じようには実施できません。
そこで、現在の気温を考慮して、夏バージョンのHSP入浴法をわかりやすく、すぐに実践できるよう解説していますので是非、試してみてください。
夏も必要なHSP
夏は、シャワーで済ませがちになりますが、お肌のためにも、夏の暑さに耐えうる体づくりのためにも、週2回のHSP入浴法をおすすめします。HSPには、ストレス防御作用があります、特に夏の強力な紫外線ストレスに対しては、体の中から紫外線ストレスを予防してシミ、シワ予防に役立ちます。
HSPは、各種病原体による感染ストレスに対して免疫を増強させる作用もあり、ウイルスや細菌など様々な感染に対する免疫増強作用があります。
暑い夏に、 “なぜHSP入浴法を?”
「夏の暑さで十分ではないか」と考える方もいるかと思いますが、夏の気候(外気温35℃以上が続く暑さ)による暑さと、HSP入浴法(40~42℃での10~20分の加温と10~15分の保温)のメリハリのある加温とは、身体に与える影響が違います。HSP入浴法では、所定の温度で所定の時間、加温することで身体に熱ストレスを与え、HSPを増加させることができます。
それでは、さっそく夏バージョンHSP入浴法にトライしてみましょう。
準備するもの
① 飲料水
夏は脱水になりやすいため必ず飲料水を準備しましょう。
HSP入浴法で出る汗は、体温調節のための汗なので、成分はほとんどが水分ですので、普通の水やお茶でかまいません
のぼせやすい人、汗が出にくい人*は入浴前にも水分をとっておきましょう。
入浴中、保温中でも水分が欲しくなったら、水分補給して構いません。
冷たい飲料水は体温を下げ、体を冷やすので避けましょう**。
飲料水の準備での参考項目
*のぼせやすい人は、身体の熱が十分に汗となって排泄できないことが原因の1つです。汗がでやすいように、前もって水分をとっておきましょう。
*汗が出にくい人は、身体の熱がうまく体外に捨てられず、熱中症にもなりやすいです。外気温が30℃を超すようになれば、身体の熱を捨てる手段は汗しかありません。よって、汗を大量に出すHSP入浴法は、汗がなかなかでない人の発汗の練習にもなります。
**冷たい飲料水を飲むと、それが体温になるまで熱を身体から奪うので、体温が下がってしまいます。保温終了後なら冷たい飲料水でもOKですので、保温の終了まで少し我慢しましょう。常温の飲料水ならいつでもOKです。
② 防水タイプの舌下型体温計
最初のうちは、防水タイプの舌下型体温計で体温を確認するとよいでしょう。
慣れてきたら、自分の感覚で何度くらいか分かるようになります。
③ 防水温湿時計(時計と温度計(室温)や湿度計も一緒についているのが便利)
入浴時間を測るために防水温湿度計を用意しましょう。
また、タイマーを付けて、入浴時間を確認するのも良いでしょう。
浴室内の温度や湿度機能がついた時計だと便利です。
④ 湯温計
実際の湯船の湯温を確認するのに便利です。
お風呂に取り付けられた湯温設定は、浴槽に流れ込む湯の温度で、浴槽に溜まった湯の温度ではありません。
実際の湯の温度は、一般に、設定した温度より若干低くなります。
⑤ バスタオルや着替え
バスタオルや着替えは、水のかからない浴室の隅か、脱衣所の手の届く所に準備しておきましょう。
⑥ お楽しみグッズ
入浴中、じっと動かずに湯船に浸かっていると、入浴時間がとても長く感じます。
私のサイトに掲載された「運動するHSP入浴法」に記載された簡単な運動をするのも良いでしょう。
https://www.youko-itoh-hsp.com/hsp/hsp-bath-sports/
体温も上がりやすく、時間が経つのが早いです。
防水機能のあるスマートフォンや音楽プレイヤー、防水カバーをつけた本などで入浴時間を楽しむのも良いでしょう。
入浴前
1 湯温の設定
最近、夏は外気温が30℃を超すのが普通になってきたこと。体温(特に体表温度)も冬より高いので、湯温は40℃で十分です。夏は、外気温が高く、皮膚表面の温度も冬より高いので、湯船に浸かっても湯温が低下することは少ないです。
好みによって、41℃(15分入浴)、42℃(10分入浴)でもかまいませんが、気張って、高くする必要はありません。
2 浴室内温度
浴室が23℃以下の場合は、裸になると肌寒いので、入浴前に浴室床にシャワーをかけたり、湯船の蓋を取って浴室内を事前に温めておきましょう。
3 かけ湯
湯船に入る前に、手や足など、心臓に遠い部位からかけ湯をし、汗や汚れを流しましょう。
そして、足、手、体と心臓に遠い部位から順にゆっくりと湯船に入ります。
入浴法
1 入り方: 体温を38℃以上に上げる 、または、 体温を1.5℃以上上げる
半身浴から、ゆっくりと心臓まで浸かる全身浴で肩まで浸かります。最初の数分間は、しっかり全身浴で温まってください。
しんどくなってきたら半身浴に、そして、また全身浴にと交互にしても構いません。また、途中で、湯船からたったり、浴槽から出て腰をかけたりと、休息を取っても構いません。ただし、休息の時間は入浴時間から差し引いてください。
高齢の方、体力に自信の無い方は、心臓に負担の少ない半身浴がお勧めです。夏は冬場のように、肩が冷えることも少ないですが、時々全身浴をして肩も温めましょう。
入り方での参考項目
*半身浴は、みぞおち下(心臓より下)まで湯に浸かります。よって、心臓には水圧がかからないので大変楽に入浴できます。しかし、体温の上がりは、全身浴より遅いので、少し長めに入ってください。
**体温の低い人は、38℃以上に体温を上げるのは大変です(例35.5℃の人の体温を38℃に上げるには2.5℃以上上げねばならない)。よって、体温の低い人は、自分の体温より1.5℃以上上げるようにしましょう(実験で確認)
2 入浴温度と入浴時間
基本は、湯温40℃で20分入浴ですが、炭酸系の入浴剤を使用したり、日常からシャワーではなく、湯船に浸かる入浴をしている人は、体温が上がり易いので、湯温40℃で15分入浴でもHSPが有意に増加します(実験で確認)
3 体温38℃以上
夏は外気温が高く、皮膚表面の温度も冬より高いので、冬より早く体温が上がり、所定の入浴時間(湯温40℃なら20分)より早く体温が38℃を超えます。その場合、20分にならなくても(例えば15分とか)、保温に移っても構いません。38℃を超えてさらに1分入浴すれば確実です。
4 入浴中
準備しておいたお楽しみグッズで入浴時間を楽しむのも良いでしょう。
おすすめは、肩・腰・ふくらはぎなど気になる部位のマッサージやリンパマッサージ(水圧によって、血管やリンパが押され血行やリンパの流れが良くなるので、リンパの流れに沿って下から上にマッサージする)をしたり、ホームページに記載されている 「運動するHSP入浴法」 にある手首や肩もみ運動などをすると、体温も上がりやすくなり、入浴時間も短く感じられます。
*「運動するHSP入浴法」https://www.youko-itoh-hsp.com/hsp/hsp-bath-sports/
5 浴室温度
夏は、夜でも熱帯夜などで外気温が高く、浴室の温度は30℃前後になり、浴室湿度も90%以上になるので、途中で換気扇を回したり、少し網戸にしたりして換気をしてください。
夏は、38℃になるのが早いので、冬より、早めに入浴が終わります。入浴が終わったら、すぐ、保温に入って構いません。
6 浴室での保温
入浴(38℃以上になった、40℃で20分または15分など)後の保温に関して、夏は夜でも熱帯夜などで外気温が高く、浴室の温度も30℃前後で、体温が急に下がることもないので、そのまま浴室で保温しても良いです。
浴室での保温のためには、10~15分ほどリラックスして保温できるような自分なりの風呂場環境を整えましょう。
風呂用腰掛けや、床タイルの上に冷えないような浴室マットを敷くなどして、保温できる環境にしておくのもおすすめです。
保温時間をお楽しみグッズで過ごしたり、 「運動するHSP入浴法」 にある手首や肩もみなどの軽い運動をしたり、瞑想やその日の反省など、保温時間を有効に使いましょう。
入浴後の保温
HSP入浴法で重要なのがお風呂からあがったあとの保温です。
夏は、浴室から出ても汗が出続けるので、身体を拭いたあとは、Tシャツ・短パンなど汗を吸いやすいラフな服装でよいです。
大事なことは、入浴後は急に体を冷やさないこと。
クーラーの強い冷気や冷たい飲み物が欲しいところですが、急に体温が下がってしまうので、少しの間は我慢です(保温後ならOKです)。
入浴後の体温を37~37.5℃以上に保って、全身に熱をこもらせることで体内にHSPができる準備となります。そのために保温が重要なのです。
室温が30℃を超える場合は、体温が下がりにくいので扇風機や軽くエアコン(28~29℃に設定)を使用しても構いません。
夏は特に、大量の汗をかくので、必ず、水分補給をしてください。
保温の時間を利用して、お肌の手入れをするのも良いでしょう。
入浴で38℃以上まで体温を上昇させて、保温で37℃台をキープするまでが、HSP入浴法です。
室温が30℃を超える場合は、体温が下がりにくいので扇風機や軽くエアコン(28~29℃に設定)を使用しても構いません。
夏は特に、大量の汗をかくので、必ず、水分補給をしてください。
保温の時間を利用して、お肌の手入れをするのも良いでしょう。
入浴で38℃以上まで体温を上昇させて、保温で37℃台をキープするまでが、HSP入浴法です。
保温での参考項目
*保温の時に出る汗は、体温調節の汗(エクリン腺から出る汗)なので、成分はほとんどが水です。
運動後の粘りのある汗や脇から出る汗(アポクリン腺から出る汗)は、有機成分を含んでおり、匂いがあります。
**夏は、外気温が高く、外気温と体温との差が少なく、入浴後の汗がなかなか止まりませんが、10~15分の保温中はちょっと我慢してください。
保温後は、冷たい飲み物もOKで、扇風機やクーラーなどの冷房も自由に利用してください。
***体の中の余分な熱を体外に捨てる方法(熱の放散)には、輻射、伝導、対流、水分蒸発(発汗)の4つの方法がありますが、外気温が高くなると、発汗しかありません。
HSPの増加について
HSPは入浴2日後にピークを迎え(入浴1~3日後まで高い値を示す)、1週間後にはもとの値に戻ります。
1日後にHSPのピークの人、2日後にピークの人、3日後にピークの人と個人差があります。しかし、ほとんどの人が2日後は、HSPの高値を示します。
1回目入浴のHSPが減少しはじめたころ(1回目入浴の3~4日後)に、再度HSP入浴法を行うと1週間比較的高いHSPが得られるので、週2回のペースが理想です。(例:1回目土曜日、2回目火または水曜日など)
毎日HSP入浴法を実施してもかまいませんが、HSPが2倍、3倍と増えるわけではありません。増えても、非常にわずかです。HSP入浴法以外の日は、ご自分の好きな入浴法をしてください。
週2回のHSP入浴法を継続して実施した場合も、約3ヶ月でなれ(耐性)が起こり始め、効果が減少することがあります。そんな時は、約1週間HSP入浴法を中止してください。すると、元に戻りますので、その後、またHSP入浴法を再開してください。
※詳細はホームページ、または著書「加温健康法」を参照ください。
医学博士 HSPプロジェクト研究所所長 伊藤要子
HSP研究者 通称バンダナ先生
30年以上前よりHSPの研究をはじめ、15年前より「HSPを市民語に」とHSPの普及活動に力を入れている。世界一受けたい授業、所さんの目がテンなどTV出演も多数。YouTubeも始めました!!
伊藤要子オフィシャルサイト https://www.youko-itou-hsp.com/
伊藤要子のYouTube https://www.youtube.com/channel/UCs6aFQkWhnTdUpOED7OYHkw/featured