インドの留学生とオンラインカレー教室をしたり、最近はスリランカ出身の方にインド地方の食文化について学んでいる、フードビジネスコンサルタントのひらつかです。
前回は、ジンジャーチャイのお話をさせていただきました。
https://yuyu-sousou.com/blogs/column/20210108
今回は、医食同源の国とも言われているインド地方のアーユルヴェーダの教えからなるスパイス料理についてのお話です。
インドの伝統医学
インドでは伝統医学という医学の分野が存在しており、約5000年前から存在しています。体質に合わせて病気になりにくい体をつくるいわば「予防医学」の考え方です。病気になってから治すのではなく、病気にならない身体づくりや生活習慣の教えが古典には記載があります。アーユルヴェーダは、生き方の指針ともいえ、自分らしく、幸せに生きることを目指す、人間本来の礎ともいえるシンプルなテーマともいえます。
また、アーユルヴェーダでは、人の体や心、生きようとするエネルギーは食べ物によって作られるとされ、それぞれの体質や症状にあった食事は、薬よりも大切であるとされています。
スパイスの役割
アーユルヴェーダの影響を多く受けるインド地方において、スパイスやハーブは、なくてはならないものです。主にスパイスの役割は、香り付けと辛み、色付けです。スパイスで味を付けるという役割はなく、風味で嗜好性を高め料理にアクセントを与えます。スパイスのもう一つの役割として、食欲増進や消化代謝を促すとされ、体の調子を整える薬としての役割もあります。
インド地方での食事のスタイルは、一枚の皿のうえに主食(ご飯やナン、チャパティ)、副菜やアチャールと呼ばれれる漬物のような付け合わせも一緒に盛り付け、それらを少しずつ混ぜながら食べます。一度の食事でも組み合わせによって味に変化が付けられるために飽きることなく食べられます。
今回は、わたしの友人でもありインド系の食文化について教えてもらっている、スリランカ出身のリリさんに日本でも手に入りやすい材料を使って、スパイスを使った料理を紹介します。
かぼちゃのカレー
かぼちゃ 500g
A 塩 小3/4
カレーパウダー 小1/2
玄米 3/4
ココナッツファイン 25g
ココナッツミルク 200ml
B 玉ねぎ(薄切り)1/2個
にんにく(みじん切り)1片
青唐辛子1本
粉唐辛子小1/2
こしょう少々
1.かぼちゃを一口大に切り、Aをまぶしておく
2.玄米とココナッツファインをフライパンで乾煎りしたあと、
ココナッツミルクと一緒にミキサーにかけペーストにする。
3.1とB、水400mlを入れて中火で、かぼちゃが柔らかくなるまで煮る
4.2のペーストを加え、ひと煮立ちさせたら出来上がり!
副菜としてテンペラートという野菜とスパイスで炒める料理も必ず付きます。
今回は、これから夏に向けて旬を迎えるオクラを使ったテンペラートを紹介します。
オクラのテンペラート
オクラ 10本程度
A
カレーパウダー 小1/2
ターメリック小1/2
玉ねぎ(薄切り)1/4個
サラダ油 適量
B
にんにく(みじん切り)1片
ドライカレーリーフ 2−3枚
青唐辛子 1本
シナモンスティック 少々
塩 小1/2
黒胡椒
ココナッツミルク 50ml
1.オクラを食べやすい長さにカットし、Aのスパイスでまぶします。
2.熱したフライパンに油を入れて玉ねぎを炒め、Bのスパイスを加えて香りが出るまで炒める
3.1を加えて全体をなじませ、ココナッツミルクを加え一煮立ちしたら出来上がり。
この他にアチャールと呼ばれる日本では漬物のような存在でもある、サンボルという和え物で、スリランカの料理にはなくてはならない付け合わせもあります。アチャールは酸味のあるものが多いのですが、基本のココナッツのサンボルを紹介します。ココナッツのサンボルを作って人参に混ぜたり、青菜の野菜と合わせたりとバリエーションが広がります。とっても簡単なので作ってみてください。
ココナッツのサンボル
ココナッツファイン 100g (ひたひたの水で戻す)
玉ねぎ(すりおろし) 1/2個
粉唐辛子 小1
ライム果汁 大2
塩 小1/2
1.すりおろした玉ねぎに全ての材料を入れてまぜる。
2.30分以上冷蔵庫で寝かせてから食べる
以上!という簡単さ。(簡単すぎて写真を撮るのも忘れるくらい)酸味もあるので箸休め(箸使わないですね)のように味に変化を付けることが出来ます。
全てを一つの皿に盛り合わせて、混ぜながら食べます。
南インドやスリランカなどの南の方は、バナナの葉っぱを皿として代用することも多く、とっても雰囲気が出ますよね。
今回は、3つのレシピをご紹介しましたが、ダールのカレーや塩もみしたにんじんも盛り付けてみました。
辛いもの、酸味のあるもの、塩気のあるものなど様々な特徴のあるカレーを少しずつ混ぜ合わせながら食べます。現地では、人によって盛り付け方や選ぶカレーや混ぜ方、食べ方に個性が出るようです。面白いですね。
冒頭でスパイスは体の調子を整える薬としての役割があるとお話しましたが、わたしの体験での話にはなりますが、このカレーを食べると翌日トイレに行く回数が増え、お腹がスッキリします。リリさんのレシピはココナッツミルクの他にココナッツファインを入れる料理が多いので、食物繊維が自然に取れるのかもしれませんね。
スパイスは普通のスーパーでは手に入らないこともありますが、私はカルディコーヒーファームさんや業務用スーパーで買うことが多いです。青唐辛子は、農家さんが集まる直売所で見つけたら必ず買うようにしています。また、韓国食材店でも揃えることができます。まとめて買ってジップ式の袋に入れて冷凍し、使う時には凍ったままカットして使うと便利です。
材料さえ揃えば、それほど難しい料理ではありません。健康に気をつかう日々が続きますが、病気になる前に養生する、免疫力を高めて感染症にならないように予防するというアーユルヴェーダの教えを体験してみてください。
余談にはなりますが、カレーを食べると気をつけていてもスパイスが服に飛び跳ねたり、調理器具が黄色に染まることがあります。カレーの黄色の正体は、主にターメリックの「クルクミン」このクルクミンは水には溶けにくいのですが、紫外線に当てると退色するという特徴があります。「紫外線に当てる」つまり太陽に当てるだけでシミが薄くなります。これで、白いシャツにカレーうどんも怖くありませんね!
こちらも豆知識としてお試しください。
以上、余談でした。
筆者
ひらつかやよい フードビジネスコンサルタント
食と食をデザインするフードビジネスコンサルタント。株式会社 Coneru 代表
岐阜県大垣市を中心にシェアキッチンを運営。食を介した人の繋がりとシェアリングエコノミーについて研究。
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