熱帯地域で広く栽培させているローゼル。果実を包んでいる肉厚なガク(萼)の部分が食用となり、お茶やジャム、お酒など、さまざまな形で利用されています。
多くの人は、ハイビスカスといえば沖縄で見かける赤い花(和名:ブッソウゲ)を想像すると思いますが一般的に売られているハイビスカスティーの原料は、このローゼルです。
ローゼルを育てる
私たちの農園では、ローゼルが旬です。毎年、9月~10月にかけて、たくさん収穫できます。
原産地の熱帯地域では、多年草ですが、日本国内では、越年ができないため1年草として育てます。
沖縄の八重山諸島では、越年できると思っていたのですが、1年草として扱っているそうです。
私たちは、気温が温かくなる4月の中旬ごろポットに種まきをして、苗を育てます。5月下旬~6月初旬ごろ、苗が30㎝ほどに伸びたら定植します。梅雨のあけるころ、追肥を施し、暑い夏を迎えます。
台風の多い沖縄地方では、定植する際に斜めに倒して植えるそうです。こうすることで、枝の張り具合が良くなり、収穫も楽になる。そして、台風被害をやや回避することもできるのだそうです。
8月のお盆明けごろから、徐々に白い花を咲かせます。花は1日花で、夕方には閉じて落ちます。
花が落ちた日から3日後くらいまでの若い種を包んでいるガクごとを採取します。ガクは、大きくなりすぎると繊維が入るので、ハサミを使わずに手で折れるくらいのガクが一番おいしく、香りが良いとのとこです。
ローゼルは美味しい
採れたてのローゼルをジャムに加工される方が多いと思いますが、ガクの全体が毛で覆われていますので、中の実(種)を外した後、たっぷりの水で毛を洗い流すと良いそうです。
全草に酸味のあるローゼル。若葉にも酸味があり、そのままサラダや天ぷらにして食べることもできます。
ハーブティーにすると、さわやかな酸味とワインレッド色のティーを楽しむことができます。このワインレッド色はアントシアニン成分で、スマホやパソコンなどで疲れた目の癒しにもなります。
ローゼルの成分である植物酸やクエン酸、ミネラル等は、代謝促進、利尿作用、疲労回復や美肌などに役立ち、肉体疲労を癒す天然のスポーツドリンクとも言われています。サウナの前後にもオススメのドリンクです。
酸味の苦手な方は、ローズ花とブレンドするとかなり飲みやすくなります。
ローゼルの乾燥方法
ハーブティーにする際は、生よりも乾燥した方が使いやすいです。もし、生のローゼルが手に入ったときはご自身で乾燥させてみましょう。
〇乾燥の仕方〇
1.しっかりと洗ったローゼルのガクの下部分をはさみや包丁でカットして、中身の実(種)の部分を取り出します。
2.そのまま、ザルなどに並べ、風に当てながら陰干しで自然乾燥します。
3.2~3日である程度は乾くのですが、しっかりパリッと乾かしたいので、最後の1~2時間だけ天日に当てて、しっかり乾かします。
最初から、天日で乾かす方法もあるのですが、私はできるだけ香りや色を残したいため、天日に当てる時間を少なくしています。フードドライヤーで低温乾燥させる方法もあります。
中の実(種)は捨てないで!
中身の実(種)の部分は、捨てずにお風呂に入れてみましょう。
お風呂に入れるとあら不思議。とろーりした成分がでてきます。
これは、ペクチンによるものです。ローゼルはオクラと同じ、アオイ科の植物。
オクラのようなトロリとした成分を味わうことができます。
ハイビスカスティーの美味しい飲み方
ハイビスカスティーは、よくローズヒップとブレンドされます。ハイビスカス(ローゼル)に足りないビタミンCをローズヒップが補い、さらに効果を高めるためにブレンドされ、美肌作りや疲労回復効果に最高の組み合わせです。しかし、人によっては酸味が強く感じられ、飲みにくく感じます。
そこで、おすすめしたいのがコーディアルです。コーディアルとは、ハーブを抽出して果物や砂糖などの甘みを加えたハーブシロップのことを言います。このシロップを炭酸水や水、お湯で割って飲みます。
ローゼルとローズヒップで作るコーディアルは、まるでベリーのような味わいになり、とても美味しいです。作り方は、とっても簡単なので、ぜひ取り入れてみてください。
ローゼルコーディアル作り方
〇材料〇
乾燥ローゼル20g
乾燥ローズヒップ15g
水500cc
きび砂糖200~250g(はちみつでもOK!)
レモン汁
①鍋に水を入れ、沸騰させます。
②水が沸騰したら、ハーブをすべていれて、中火で5分加熱し火を止め、さらに蓋をして5分ほど蒸らします。→濃いハーブティーを作る感じ。
③蒸らし終わったら、ハーブを全て取り除きます。
(ザルなどでハーブを濾す場合、ハーブの水分をできるだけ残すよう絞ってください)
④ハーブを取り除いたら、砂糖を入れて再度加熱します。
⑤砂糖が溶けたら、レモン汁(適量)を入れて完成!
冷蔵保存で2週間ほど保存可能です。また、冷凍保存もできます。
100均でも販売されている蓋付きの製氷器に入れて冷凍保存すると1回分づつ使えるので便利です。
冷凍保存の場合は、2カ月以内に使い切ると良いでしょう。
エネルギッシュなハーブの代表、ローゼル。
夏の疲れを癒すためにも、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
筆者 CHIHO.hoshiyama
岐阜各務原にある創業25年の風呂屋「恵みの湯」で人気の岐阜産”伊吹薬草湯”に自身の不調を支えられた経験より、日本古来から伝わる植物浴の素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいという想いからHERB&BATHプロジェクトを始動。
入浴で身体を温める大切さを伝えるバスセラピストとして、植物の活用を広げるハーバルセラピストとして活動中。また、自社ハーブ農園にて農薬を使用せず様々なハーブを栽培しています。
温泉入浴指導員・温泉ソムリエマスター
JAMHA認定ハーバルセラピスト
JAMHA認定ハーブ&ライフコーディネーター
JAPHY認定 ハーブティーソムリエ