“春”がやってきました。
みなさんのまわりでも様々な植物が芽吹き、花を咲かせはじめていることと思います。
その中にそろそろミントの葉も見つけることができるのではないでしょうか。
旺盛な繁殖力のため、ガーデナーには嫌われがちなミントですが、多くの種類があり、それぞれ用途を持つ有用植物です。今回はこのミントを取り上げたいと思います。
メディカルハーブとして
人へとはたらきかける力が高いのは、なんといってもペパーミント。
精油を多く含み、古来より医療に用いられてきました。精油の主成分はメントール、ミントの入浴剤やアロマオイルを入れたお風呂から上がると、ひんやりして体感温度がスーッと下がります。けれども実際には体温が下がっているわけではありません。
人には「感覚神経」と呼ばれる温度を感知するセンサーのようなものがあり、ミントのメントール成分はその冷感神経を刺激して、冷たさを感じさせます。(ちなみに唐辛子に含まれるカプサイシンはその逆、熱さを感じる神経を刺激します)心も体も爽やかにスッキリさせたい、夏の入浴に役立てて下さい。
お茶にした時には、ルチノシルルテオリンという成分が溶け出します。季節の変わり目のグズグズで困っている方にペパーミントティーを淹れると「久しぶりに楽になった」ととても喜ばれました。他にも健康維持やリフレッシュなどにもぜひペパーミントティーを淹れてみてください。
昭和薬科大とロッテ中央研究所の研究により病原性大腸菌0157に対し、強い殺菌力を持つことも明らかにされています。アルコールスプレーにペパーミント葉を漬けこんでおけば、シュッとした時に消毒、臭い消しと共に、爽やかな香りが広がり、場が浄化され清浄な空気が満ちてきます。
リフレッシュとリラックス両面の側面を持つことから、ストレス緩和はもちろん、仕事中の眠気覚ましや気持ちの切り替えが上手くいかない時に、わたし自身ずいぶんペパーミントティーに助けられてきました。何より美味しい!まず1つハーブをストックするならば、ペパーミントがおすすめです。
その他のミント
日本ハッカ
我が国のミント。特徴的なハッカ脳が含まれる他、メントールも多く含まれるので、清涼感がより強く感じられます。日本薬局方ハッカ油はドラッグストアにも並んでいるので、掃除にリフレッシュに活用しましょう。
アップルミント
フルーティーな香り。サラダやドリンクのトッピングに向く。
スペアミント
ティーだけでなく料理にも使いやすい。意外にもメントールの含有量は少ない。ガムの香料として使われている。
パイナップルミント
斑入りミント。寄せ植えにも向く。他のミントと比べると繁殖力は弱めで育てやすい。
ブラックペパーミント
香りが強いのでリース作りの材料とすると良い。ティーも美味しい。
育て方
どのような環境でも育ちますが、夏の高温多湿には弱く、また強い乾燥も苦手なので、プランターの場合は水切れに注意が必要。庭では根が広がり過ぎないように育てます。底を抜いた鉢を庭に埋め、その中で育てると良いでしょう。
採取時期
花の咲く前、6月から7月初旬が摘み頃です。花が咲くと爽やかさやコク・甘味を呈する香気成分が減り、逆に苦味やカビのような臭いを発する成分が増えてきます。そうなるともう使えません。収穫の時期を逃さないようにして下さい。有効成分を保つため、収穫後はエアコンの風などを利用して手早くドライにしましょう。
活用法
ハーブティー
ドライ葉1~2gに対し熱湯150~200ccを注いで5分蒸らす。
チンキ剤
ガラス瓶に乾燥葉を全体の容量の1/3ほど入れて、ウォッカまたはホワイトリカーで満たす。
(フレッシュを使う場合は容器の2/3以上たっぷり漬ける)
毎日ふり混ぜて2週間後に濾し、エキス剤をスポイト容器に入れる。
・うがいやマウスウォッシュとしてコップに1~2滴落として使う。
・お茶に2~3滴混ぜて飲む。
・チンキ剤10mlを精製水40mlで薄めるとデオドラント剤となります。爽やかで心も肌もすっきり。
各国での使われ方
世界中の温暖な地域で古くから活用されているミント。その使い方をレシピと共にご紹介します。
キューバより~モヒート
日本でも人気を博したモヒートはキューバ発祥のカクテル。イエルバ・ブエナという種類のミントが使われます。この頃はモヒートミントとして苗が販売されていることもあるので、目にされている方も多いのでは。文豪ヘミングウェイも愛したこのカクテルは「ホワイトラム」を使い、砂糖はサトウキビから作られた砂糖を使うと間違いなく美味しく仕上がります。
ホワイトラム 45cc (アルコール不可の方は無しにしてOK)
ライム 1/4~1/2個
ミント(イエルバ・ブエナ またはスペアミント)たっぷり
砂糖 大さじ1
炭酸水 適量
適量
クラッシュした氷……適量
①ロンググラスに、ライムを搾り、砂糖・ラムを加えてよく混ぜて砂糖を溶かす。
②グラスいっぱいの氷を加え、細かくしたミントを入れてから炭酸水を注ぐ。
(好みによりミントをつぶす)
③全体をよく混ぜてからミントの葉を飾る。
英国より~ミントソース
羊肉の香りを引き立てつつ、ほど良くクセを消してくれることから、イギリスでは羊肉のソースとして使われます。
①羊肉に塩・コショウを振って、オリーブ油を散らし230℃程のオーブンで10分程焼く。
②小鍋に水・白ワインビネガー:各大さじ2 砂糖:小さじ2を煮立て火を止め、冷ます。
③食べる直前にスペアミント5~8gを刻んで、レモン汁 約1/2個分と共に②に混ぜて、羊肉のローストに添える。
フランスより~グラニテ
フランス料理の途中に、お口直しを目的として供されるもの
爽やかなデザートとしてもどうぞ。
①鍋に水250gとグラニュー糖20-40g(好みにより増減)を入れ、沸騰させて砂糖を溶かす。
②ミント葉10~20枚を入れ、火を止めて急冷する。(ボウルに移し、鍋底に氷を当てて冷やすと良い)
③ざるなどで濾し、バットなど平らな容器に入れ、冷凍庫で凍らせる。
④8~9割ほど凍ったらフォークかスプーンで細かく砕く。再び冷凍庫で完全に凍らせて、もう一度細かく砕く。
⑤器に盛り付け、飾り用のミントの葉を上に飾る。
※①の時に少々の白ワインも加えると大人のデザートとなります。
中世ヨーロッパではハーブを床にまいて使うストローイングハーブという習慣がありました。
衛生環境が悪く、ペストをはじめとした感染症の多い時代にミントをはじめとした殺菌力・抗菌力の強いハーブを撒いて感染症の予防に使っていたのです。
現代でもそんなハーブの力を役立てていけたらいいですね。植物の香りはわたしたちの笑顔を引き出し、癒しをもたらしてくれるでしょう。
【参考文献】
茶楽 ガイアブックス
料理に役立つハーブ図鑑 石井義昭著
ホリスティックハーブ療法事典 ペネラピ・オディ著
世界のスパイス・ハーブ大事典 ジル・ノーマン著 他
水野さと美 シュクレ メディシナルハーブ主宰
自身の片頭痛やアレルギー体質がハーブにより改善していった長年の経験を踏まえ、ワークショップや専門講座の開催、ならびにハーブブレンダーとして活動しています。
日本メディカルハーブ協会ハーバルセラピスト/中部地区委員
日本アロマ環境協会アロマテラピーインストラクター
漢方医学研鑽会メンバー
シュクレ メディシナルハーブ https://sucre.storeinfo.jp/
Instagram https://www.instagram.com/sucre_medicinal_herbs/
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