初夏から夏に向けて、庭や畑にどんどん増え続ける雑草。そして、多くの方が悩む雑草処理。
雑草抜きはとにかく大変な作業です。
この雑草の中にも実はハーブとして役立つ植物、食べられる植物があるのです。
今回は、和ハーブインストラクター半谷美野子さん宅のお庭にお邪魔して、雑草なのだけどとっても使える植物のお話を伺いました。
半谷さん宅のお庭には、ご自身で植えられた植物やどこからかやってきた植物など、何十種もの植物が育っています。そして、そのほぼ全てが暮らしに使える植物です。
セイタカアワダチソウ
キングオブ雑草と言っても過言ではないほど、どこにでも見かける野草。9月ごろに黄色の花を咲かせます。
ヨーロッパではセイタカアワダチソウの花を抗アレルギーや泌尿器系に良いとメディカルハーブとして扱っています。また、北米ではセイタカアワダチソウの花から採れる蜜を「ゴールデンロッドハニー」として販売しています。まろやかでフローラルな香りがあると人気です。日本でも、輸入食品を扱うショップで購入することができます。
セイタカアワダチソウの葉は、てんぷらにしても美味しいそうですよ。さらに、花が咲く前のつぼみを乾燥させて、入浴剤として使うと気泡が立ちアワアワのお風呂になるとか。今年の秋に試してみようと思います。
コメツブツメクサ
黄色い米粒のようなとってもかわいらしい花を咲かせます。以前は、関東より北ではあまり見かけなかった雑草ですが、今はどんどん北上しているそう。コメツブツメクサは、抜かないとどんどん増えてしまうので、ある程度の処理は必要です。
また、この黄色の花は食べることができるので、サラダのトッピングやクッキーの飾りにも使用できます。
ニワゼキショウ
ピンクの花が可愛いアヤメ科の多年草です。半谷さんは、小学校のころ友達と一緒に「ダイヤモンド草」と名付けて呼んでいたそうです。この可愛い花を、お菓子の飾りやお茶のトッピングに使うととても華やかになります。
※白い花はシロツメクサです。
クリーバーズ
日本では「ヤエムグラ」と呼ばれている植物です。実はこの雑草、リンパ系に働きかけたり、肌へ働きかけたり、そのほかにも様々な作用を持つハーブとして使われ、実際に販売もされています。
味は、ほんのり甘みがあり、まろやかだそうです。私も、見つけたら乾燥してお茶にしてみようと思います。
キランソウ
別名、ジゴクノカマノフタと呼ばれるシソ科の野草。内用、外用ともに使用され、イシャイラズ、ヤマイシラズと言われるほど、様々な効果効能を持っています。乾燥した茶葉をお茶にして飲んだり、生葉の汁を外用に利用したりします。
ハルジオンとヒメジョオン
ハルジオン
ヒメジョオン
春から初夏にかけて咲くハルジオンと初夏から夏に咲くヒメジョオン。どちらもそっくりなカラスノエンドウとスズメノエンドウ、カスマグサ花ですが、見分ける方法は、つぼみが垂れ下がり、茎の中身に空洞があるのが「ハルジオン」、つぼみがピンと立ち、茎の中身が詰まっているのが「ヒメジョオン」です。
ハルジオンのつぼみは、茹でて甘酢漬けにするとかわいいです。また、ヒメジョオンの花は、茹でて白和えや天ぷらにして食べることができます。
カラスノエンドウとスズメノエンドウ、カスマグサ
この3種も身近な場所でよく見かける、そして見た目がよく似ている野草です。
カラスノエンドウ
カラスノエンドウは、全草(葉、茎、花、種)、食べることができます。穂先をかきあげにしたり、乾燥させ炒ったものをお茶にします。お茶はとても美味しいそうです。また、花はデザートのトッピングにすると可愛らしく仕上がります。
スズメノエンドウ
スズメノエンドウは、カラスノエンドウよりもサヤが小さく、種のつき方が違います。小さな葉の先は平らになっています。この葉をサラダに散らしたり、オムレツに飾ったり。花はデザートのトッピングに。スズメノエンドウは、高級フレンチやイタリアンでも利用されています。
カスマグサ
カスマグサは、名前が上記ふたつとは全く違うので、どうして?と思うかもしれません。「カスマ」とは、カラスノエンドウとスズメノエンドウの「カ」と「ス」の間(マ)という意味だそうです。実際に花や葉の大きさを比べると、カラスノエンドウ→カスマグサ→スズメノエンドウの順になります。
カスマグサは、スズメノエンドウと見分けがつきにくいのですが、違いは葉の先です。スズメノエンドウが平らなのに対し、カスマグサはツンと尖がっています。残念ながら、カスマグサは高級レストランでの取り扱いはないですが、スズメノエンドウと同様、お料理に使うことができます。
いかがでしたか。よく見かける雑草が実は高級ハーブだったり、料理を彩る食材になったり。植物って、本当に面白いですね。みなさんも、ぜひ散歩をしながら探してみてください。
今回、紹介した以外にも、たくさんのお話を伺っているので、第二弾も予定しています。どうぞお楽しみに。
「人と自然をつなげる、伝える」ことがライフワーク。愛する自然を後世に残すため、多くの方に身近な自然の素晴らしさ、大切さを知って頂きたいという思いから、植物や生き物について五感を通してワクワクするワークショップを主に愛知、岐阜で開催。あいち健康の森薬草園にも勤務。
森林インストラクター、JAAアロマコーディネーター、和ハーブインストラクター
造園施工管理士、ビオトープ施工管理士、学芸員
Instagram:https://www.instagram.com/kinezumiya/
筆者 CHIHO.hoshiyama
岐阜各務原にある創業25年の風呂屋「恵みの湯」で人気の岐阜産”伊吹薬草湯”に自身の不調を支えられた経験より、日本古来から伝わる植物浴の素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいという想いからHERB&BATHプロジェクトを始動。
入浴で身体を温める大切さを伝えるバスセラピストとして、植物の活用を広げるハーバルセラピストとして活動中。また、自社ハーブ農園にて農薬を使用せず様々なハーブを栽培しています。
温泉入浴指導員・温泉ソムリエマスター
JAMHA認定ハーバルセラピスト
JAMHA認定ハーブ&ライフコーディネーター
JAPHY認定 ハーブティーソムリエ