7月17日に気象台より東海地方の梅雨明けが発表され、過去最長62日間の長い梅雨であったことが話題になりました。
これから本格的に蒸し暑~い夏が始まるわけですが、猛暑で食欲が落ちるとどうしても冷たい食べ物や飲み物が続いてしまいがち。ちょうど夏バテが心配になってくるそんな頃にやってくるのが「土用の丑の日」です。
土用の丑の日といえば鰻(うなぎ)を食べるのが一般的ですが、薬草をお湯に入れて入浴をする「丑湯(うしゆ)」という習慣もあります。
ハーブ湯としてのメリットや丑湯の入り方などについて、ご紹介したいと思います。
そもそも土用の丑とは?
毎年この時期になるとスーパーやコンビニなどで「土用の丑の日には鰻を食べよう!」というポスターが並び、全国の小学生たちは「なんで土用の丑の日なのに土曜日じゃないんだろう?」と頭を悩ませるわけですが、「土用の丑の日」とはどういったものなのでしょうか?
簡単に言うと、「土用」という期間のうち「丑の日」である日のことを「土用の丑の日」と言い、梅雨明け頃になる「夏の土用の丑の日」が一般的に有名である、という説明になります。
「土用」っていつのこと?
「土用」とは「土旺用事(どおうようじ)」の略で、二十四節気のうちの四立と言われる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」前の約18日間(または約19日間)のことをいいます。各季節の変わり目にあるということです。
2021年の土用
冬土用(立春前):1月17日(日)~2月2日(火)
春土用(立夏前):4月17日(土)~5月4日(火)
夏土用(立秋前):7月19日(月)~8月6日(金)
秋土用(立冬前):10月20日(水)~11月6日(土)
一般的には立秋前の夏の土用が最も有名ですが、実は1年に4回もあったというのは、知らない人も多いのではないでしょうか。
「丑の日」っていつのこと?
丑の日は十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)の2番目にくる「丑(うし)」のことです。
十二支は年を数えるときに使われるのが一般的ですが、 実は方角や月、日にちを数えるのにも使われます。つまり、約18日間の土用の期間のうち、 12日周期で割り当てられている十二支が「丑の日」にあたる日のことを「土用の丑の日」と呼びますので、1日だけでなく2日存在することもあります。その場合は1日目を「一の丑」、2日目を「二の丑」と呼びます。
2021年土用の丑の日
冬土用(立春前):1月17日(日)、29(金)
春土用(立夏前):4月23日(金)
夏土用(立秋前):7月28日(水)
秋土用(立冬前):10月20日(水)、11月1日(月)
このように春夏秋冬すべてに「土用の丑の日」があります。
桃の葉を入れた「丑湯」で夏バテ防止、無病息災を願う
土用の丑の日には鰻を食べるほか、薬草をお湯に入れて入浴する「丑湯」という習慣があります。
現代日本では、入浴剤を入れてお風呂に浸かることはいつでも気軽にできることになっていますが、今よりもお湯が大変貴重で、毎日お風呂にお湯を溜めることができなかった時代には、蒸し暑い夏に入る薬草風呂は格別に爽やかなことだったようです。
夏バテ防止や疲労回復のために入る「丑湯」には無病息災を願う意味もあり、江戸時代にはとくに桃の葉を入れた桃湯を丑湯としていたそうです。
今年の土用の丑の日は、入浴剤ではなくハーブや薬草を入れた「丑湯」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
「丑湯」に使われる薬草
・ドクダミ
日本三大薬草のひとつで、10以上の多くの効能を持つことから「十薬」と呼ばれています。あせもや湿疹などに効果が期待できると言われています。
・緑茶
カテキンやビタミンCを含み、美白や保湿効果が期待できます。また、リラックス効果の高いテアニンが含まれ、緑茶の爽やかな香りに癒やされます。
・桃の葉
古代中国では桃は「魔除けの力を持つ」とされ、ひな祭りなどでも使用されています。ハーブ湯としてだけでなく、古くから伝わる風習を取り入れ、パワーを取り込むように浸かるのも良いかもしれません。
桃の葉にはタンニンをはじめ、カリウムやシュウ酸マグネシウム、フラボノイドなど、お肌に良いといわれる成分を多く含んでいます、あせもや湿疹、虫刺されなどお肌のトラブルによいとされています。
丑湯の入り方
お風呂はいつもより少し熱めに沸かした方が、薬草の香りや効果がより強く引き出されます。注意点としては、小さなお子さまや赤ちゃんも入浴する場合は、洗面器を使う以下の方法がおすすめです。
1.薬草は、生の場合は茎や葉をしっかり水洗いして、細かく刻む。
2.刻んだ薬草をネットや不織布等に入れて洗面器に入れる
3.洗面器に入れた薬草に熱湯を注ぎ、10分程蒸らす
4.薬草を洗面器のお湯ごとお風呂に入れる
5.入浴中はよく袋を揉み、薬草の成分を出しながら入浴する。
薬草や葉をそのまま入れると見た目にはきれいなのですが、そのままの状態で入れてしまうより、ハサミなどで細かく刻んでから熱湯で蒸らすことで、より薬草の成分が抽出されやすくなります。
さいごに
「土用の丑の日はうなぎだ!」と単純にイベントとして楽しむのもとても良いのですが、一度立ち止まって、伝統行事や言い伝えの成り立ちや意味などを調べてみると、いつも通りの日々を、より趣深く、より美しく感じられるような、そんな気がしています。
今年の土用の丑の日は、一手間かけて、入浴剤ではなくハーブや薬草を入れた「丑湯」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
◇告知
恵みの湯では、土用の丑の日を含む7月26日(月)~8月1日(日)の1週間、露天風呂にて「桃の葉風呂」を開催します。夏にピッタリの薬草風呂になりますので、日本の伝統を感じながらぜひお楽しみください。
(参考)
・夏の土用は「桃湯」に入って元気をチャージ! – ニッポン放送 NEWS ONLINE
https://news.1242.com/article/147577
・土用の丑の日ってなあに?なぜ鰻を食べるの? | クックビズ総研
https://cookbiz.jp/soken/culture/doyouno_ushinoshi/
・【2021年】土用の丑の日とは何日?由来や意味!食べ物にうなぎを選ぶのはなぜ? | 情報整理の都
https://miyakyo0001.com/doyounousinohi
・2021年の土用の丑の日はいつ?意味や由来(起源)・食べ物について | 神社・寺 御朱印めぐり.COM
https://jinja-tera-gosyuin-meguri.com/%E5%9C%9F%E7%94%A8%E4%B8%91%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE%E3%82%92%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1/.htm
・土用の丑の日2021年はいつ?意味と由来とは?鰻(うなぎ)を食べるのはなぜ? - 日本文化研究ブログ - Japan Culture Lab
https://jpnculture.net/doyouushinohi/
・【2021年の土用カレンダー】年に4回ある土用の期間。季節の変わり目で土いじりはダメなんです。 | 杏純ケイトのスピリチュアル・ライフアドバイスブログ
https://angekate.com/doyo-days/
筆者:並河征之
岐阜各務原の銭湯恵みの湯本部長。入浴検定取得、温泉入浴指導員、サウナ・スパ健康アドバイザー。お風呂とサウナの情報や、地元地域でハタラクこと、中小企業でハタラクことなどについて発信をしています。初心者ブロガー。小説が好きで意外と読書家です。
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