クロモジで冬を元気に過ごしませんか

クロモジで冬を元気に過ごしませんか

この頃、「クロモジ」という植物が気になっている方、いらっしゃいませんか?

昔から活用されてきたクロモジですが、様々な研究が進み、今大注目の植物。

そして、冬を元気に過ごすのに活用できる、ぴったりな和ハーブのひとつです。
一体どんな植物なのか、少しご紹介させていただきたいと思います。

クロモジ 黒文字

クロモジとは?

クロモジはクスノキ科の落葉低木。北海道南部、本州、四国、九州の山地、中国地方などアジアにも自生している植物です。

若い枝に地衣類の一種が付着して黒い模様があるのが特徴で、それを文字に見立てたことから、クロモジ(黒文字)という名前がついたといわれています。また枝葉を切ったり、折ったりすると、クロモジ特有のスーッとしたいい香りがするのも見分けるポイント。

クロモジは日陰で沢沿いなどの湿った森で出会うことが多く、林業の下草刈りや伐採の時などには、切られてしまうほど多く生えているところもありますが、全く生えていない森も沢山あります。

日本人とクロモジ

クロモジは昔から日本では欠かせない植物であり、様々なものに活用されてきました。

生薬:生薬名は釣樟(ちょうしょう)または烏樟(うしょう)といい、芳香性健胃薬や急性胃腸カタルや脚気などに根皮を乾燥したものを使うそうです。

楊枝:茶席や和菓子をいただく時に使用する、皮付きの高級楊枝とクロモジ!

黒文字 クロモジ 楊枝

入浴剤:昔、山で作業をする人は山からクロモジを採ってきて、お風呂に入れていたという話があります。神経痛や肩こり、腰痛に加え、体を温める効果もあるので冷え症にもよいといわれています。

油:昔は油を採取し、石鹸や化粧品の香料として、国内外で使用されてきたそうです。

歯ブラシ:昔、宮中に仕える女房(女官)が、皮を残して先の方を砕いて稲穂のようにして活用したといわれています。

かんじき:東北地方の山岳地帯で狩猟生活を送るマタギたちは、カンジキ作りで余ったクロモジの枝を蒸出し、薬草茶として飲んでいたそうです。

クロモジの精油(アロマオイル)

和精油の代表として大注目のクロモジ精油。林業組合が大学と共同研究するなどして、全国各地で作られ、販売されています。地域によって、クロモジの種類や成分もちがうため、香りも異なるので、香りを比べるのもおすすめです。

成分:クロモジ精油はゲラニオールやシネロール、リナロールという成分が主な成分であることが分かっています。リナロールは、鎮静、抗不安、抗菌、抗炎症作用などが知られており、ラベンダーやスイートオレンジなどにも含まれている親しみやすい香りの成分です。

黒文字 精油 クロモジ エッセンシャルオイル アロマオイル

精油の活用方法

バスボム
身体をあたため、心をリラックスするクロモジ精油は寒い冬のお風呂にぴったり!
重曹とクエン酸を2:1の割合で混ぜ合わせ、バスボムや入浴剤を作って、そこに精油を数滴垂らして、お風呂に入れます。クロモジの香りと効能が楽しめるバスタイム、いかがでしょう。

クリーム
クロモジ精油はスキンケアにも大活躍の精油。お肌をしっとりさせる効果もあるので、自家製の蜜蝋クリームやシアバタークリームを作る時に入れて使います。
ハンドクリームはもちろん、フェイスクリームやボディークリーム、ヘアケアにも最適。癒しの香りのクリームは手放せません。

化粧水
自家製化粧水を作る時に、グリセリンや薬草エキスにクロモジ精油を溶かして使います。
化粧水には精油だけでなく、クロモジの芳香蒸留水(アロマウォーター、ハーブウォーター)もおすすめ。
芳香蒸留水だけでもさっぱりした使い心地で、化粧水としても使うことができます。

クロモジ蒸留 黒文字 蒸留水 ハーブウォーター
(画像:クロモジの蒸留)

マスクスプレー
リフレッシュ効果も抗菌効果もあるクロモジ精油はマスクスプレーにも最適。
自家製のアルコールスプレーに入れて、マスクにシュシュッ。快適なマスク生活が送れることでしょう。

アロマディフューザー
アロマディフューザーに入れて使うと、消臭作用や免疫力アップにもなり、お部屋がクロモジの香りに包まれて、なんとも心安らぐ空間に!
安眠作用もあるため、眠る時に焚くのもおすすめです。

クロモジ茶

クロモジ茶の葉っぱの場合はティーポットで淹れられますが、枝は細かく切って煮出すとしっかり香りも味も楽しめます。枝葉だけでなく、春先に咲く、かわいい黄色い花も実はお茶になります。優しい香りのいいお茶になるので、お花を見つけたら、ちょっと頂いてみてください。
生でも乾燥でも数個をカップに入れて、お湯をそそぐだけ。見た目もかわいい特別なお茶になります。

クロモジ茶 黒文字のお茶 黒文字茶

そして、冬におすすめなのが、身体があたたまり、ほっと一息できる「チャイ」。
枝を1時間ほど水で煮出し、同じ量の牛乳や豆乳を入れて、蜂蜜やキビ砂糖などで甘味をつけます。最後に葉っぱも入れて、沸騰しないように煮て出来上がり。
クロモジだけでも、ショウガやほかのスパイスが入っているようで、味わい深く、リラックス効果も抜群!風邪の引き始めやぐっすり眠りたい時にも是非飲んでみてください。

また、やかんやお鍋にクロモジの枝を入れて、ストーブにかけておくと、いつでもクロモジ茶が飲めるのと同時に、クロモジのいい香りがお部屋に立ち込めて、風邪予防にもなるアロマ加湿器がわりになります。

クロモジ茶を濃く煮出したものをお風呂に入れると入浴剤にもなりますよ。

 

最後に...

この頃は、各地のお土産屋さんや道の駅でもクロモジ茶などが売られているというお話もお聞きします。
日本人が昔から生活に取り入れてきたクロモジ。クロモジに目を向けていただくことで、日本の林業や伝統に関心を持っていただけるとうれしいなと思っています。

この冬、身も心も癒されるクロモジ生活、ちょっといかがでしょう。

 

◆参考文献
「新世代 アロマセラピー クロモジ 黒文字」 稲本正 著 yuica
「和ハーブ図鑑」:古谷暢基/平川美鶴 《一般社団法人和ハーブ協会》
「あたらしいアロマテラピー事典」木田順子 著

◆参考サイト
養命酒製造株式会社:https://www.yomeishu.co.jp/index.html
クロモジ研究会:https://www.kuromoji.jp/
「イー・薬草・ドット・コム」:http://www.e-yakusou.com/sou/sou206.htm

和ハーブインストラクター 森林インストラクター

半谷美野子さん 
「人と自然をつなげる、伝える」ことがライフワーク。愛する自然を後世に残すため、多くの方に身近な自然の素晴らしさ、大切さを知って頂きたいという思いから、植物や生き物について五感を通してワクワクするワークショップを主に愛知、岐阜で開催。あいち健康の森薬草園にも勤務。
森林インストラクター、JAAアロマコーディネーター、和ハーブインストラクター
造園施工管理士、ビオトープ施工管理士、学芸員
Instagram:https://www.instagram.com/kinezumiya/

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