夏のお風呂に合うハーブ(野草)の紹介

夏のお風呂に合うハーブ(野草)の紹介

前回、土用の丑の話(https://yuyu-sousou.com/blogs/column/20210723_doyouushiyu)で、
丑湯に使うと良いハーブの話が出ましたが、それ以外にも夏の入浴にとても良いハーブ(野草)がたくさんあります。

夏は、強い紫外線による日焼け、お子さまの湿疹やあせも、虫刺されなど
肌のトラブルが気になる時期。

そんな時は、ハーブのエキスでお湯を柔らかくして、肌への刺激を和らげましょう。
今回は、そんな夏の肌ケアに良いと言われているハーブ(野草)をご紹介します。

ビワの葉
ビワの葉 枇杷葉 ビワの葉エキス

古くからインドでは、ビワの木のことを「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」、ビワの葉のことを「無憂扇(むゆうせん)」とよび、病気を治して憂いを無くすものとして、ビワの薬効を生活に役立ててきました。また、中国では、「枇杷葉(びわよう)」とよび、貴重な生薬として利用してきました。

ビワの葉の採取は、一番薬効が高いと言われる1月の大寒ごろが良いと言われていますが、薬学博士の村上光太郎先生によれば、自家用に使用する際は、採取時期を気にしなくてよいとのことです。乾燥した葉を浴用に使用するほか、お茶として飲んだり、アルコールに浸けるチンキ作りにもおすすめのハーブです。

カキの葉
カキの葉 柿の葉 柿の葉茶 タンニン

日本には奈良時代に渡ってきたとされるカキの葉。
カキの葉は、レモンよりもビタミンCが豊富で、暑い夏の紫外線から身体を守ってくれます。
6月から8月の暑い時期に採取した葉が一番ビタミンを多量に含んでいますが、採取後は時間とともにビタミンCが減少するので、早めに処理をしましょう。

カキの葉を2分程度蒸して酵素を分解させます。その後、手早く広げ熱を冷まし、しっかりと乾燥させます。ちなみに、入浴用として使用する場合は、甘ガキ・渋ガキのどちらでも良いです。また、9月を過ぎると、葉に渋み成分が増えますので、飲用として使用する際は注意が必要です。

シソの葉
青じそ シソ シソジュース
赤しそ ポリフェノール アレルギー緩和

食用として、たいへん馴染みのあるシソ。
江戸時代からシソは重要な薬として使われていたことが「大和本草」(1709年刊行、貝原益軒により編纂された本草書)に書かれています。
香り成分のペリルアルデヒドには強い防腐作用があり、食中毒予防として刺身のツマとしても利用されています。

また、夏にシソジュースを飲んでおくと、秋や春のアレルギー症状の緩和も期待できるそうです。浴用に使用する際は、茎も使用できます。葉茎を乾燥させたものを袋に入れ、お風呂に入れて楽しみます。

アカメガシワ
アカメガシワ 痔の媚薬 痔の薬 薬草

江戸時代から痔の媚薬として知られるアカメガシワ。新芽や新葉が赤い毛で覆われるところから名づけられました。成葉になると、赤色はなくなり、大きな葉になります。昔は、これを皿の代わりにして食べ物をのせたり、包んだりしていたそうです。

薬用として使用されるのは、葉と樹皮です。樹皮エキスを使った治療薬も市販されています。
浴用には、枝葉を使用します。夏に採取して、水洗いし、細かく刻んでカラカラになるまで乾燥させます。お風呂に入れる際には、塩を一緒に入れると効果的だそうです。

ゲンノショウコ
ゲンノショウコ 現の証拠

「現の証拠」という意味を持ち、使用するとすぐに効果が表れることから名付けられました。
また、地域によりその呼び方は様々で、イシャイラズ、タチマチグサ、テキメンソウなどがあります。

ゲンノショウコの薬効成分はタンニンで、その含有量は花も盛りとなる夏の土用丑のころが一番高いといわれています。採取した葉茎は、水洗いして日に当て、しっかりと乾燥させます。
夏の肌のトラブルには、乾燥したものを鍋で煮だして濃く煎じ、浴槽に入れるとよいでしょう。ちなみに、今年、うちの農園で咲いた花は白花ばかりでした。(昨年は、赤白両方の花が咲きました)

スイカズラ
スイカズラ 金銀花 冬忍

日当たりの良い山地や野原などに普通にみられる常緑のつる性植物です。
咲き始めの花は白色、もしくは乳紅色ですが、のちに黄色に変化することから、花の生薬名は「金銀花」と呼ばれています。
一方、茎や葉は冬でも枯れないため、冬を忍んで青いままでいるという意味で「忍冬」という生薬名が付いています。
和名の「スイカズラ」は、花の蜜を吸うと甘みがある、つる性の植物のことを表しています。

浴用として使用する際は、乾燥した葉茎50100gくらいを袋に入れ、水から浴槽の中に入れて湯を沸かします。美容効果が期待できます。花は香りが良いため、ホワイトリカーなどアルコールにつけてスイカズラ酒にしたり、ハーブティーとして飲用したりするのもよいでしょう。

スギナ
スギナ ツクシ 雑草

全国各地、日当たりの良い場所に生える野草です。
非常に生命力が強く、多量に生えてくるので、処理に追われる人も多いのではないでしょうか。
春先にツクシ(胞子茎)を生じ、のちに緑色の麟葉(スギナ)となります。
スギナは、高さ3040センチほどに成長します。一見、葉のように見えますが、ほとんどが茎だそうです。

5月ごろに全草を採取して風通しの良い場所で乾燥させます。
浴用として使用する際は、生のスギナを100200gほど袋に入れて、水から浴槽に入れて沸かします。乾燥したものを使用する場合は半量にすると良いでしょう。

カキドオシ
カキドオシ 和ハーブ 和ハーブティー

以前、半谷さんに学ぶ「和ハーブを身近に感じる」(https://yuyu-sousou.com/blogs/column/20210618_waherbs)でも登場したカキドオシ。
花の咲く4月~6月ごろに採取して、しっかり乾燥させます。
ハーブティーにして飲むと優しい味でとても美味しいですが、浴用としても使用できます。

村上光太郎先生は「湿疹やあせも、皮膚の炎症がひどいときには、煎液(ハーブティー)を飲むばかりでなく、煎じた液(鍋で煮だした液)を風呂に入れて入浴すれば、かゆみも取れ、次第に治まります。生の葉のしぼり汁を塗布すれば、早い効果が得られます」とおっしゃっています。(薬草をたべる 薬学博士村上光太郎より)
比較的育てやすい植物なので、ご自身で育ててみてはいかがでしょうか。

ここまで夏のお風呂に合うハーブを紹介してきましたが、
夏の入浴についても少し触れたいと思います。

入浴後、「汗が流れ出た」「汗が止まらない」ということはありませんか?

せっかくお風呂に入って、身体をキレイにしたのに、たくさん汗をかいてしまっては元も子もないです。

そんな方には、湯温37℃~38℃の低温浴をおすすめします。

お湯の温度は低いですが、しっかり温浴効果も得られます。
また、この温度であれば、夏でも楽に全身浴ができ、静水圧作用による、
全身のマッサージ効果も得られ、むくみの緩和や疲労回復につながります。
そして、入浴後はスッキリ感も味わえるので、汗だくになることはありません。
ぜひお試しください。

恵みの湯 冷やし炭酸泉 炭酸泉 低温温泉
各務原 恵みの湯では「冷やし炭酸泉」をご提供しています。
湯温は、32℃~36℃程度。かなり低い温度です。

余分な熱を取りながら、炭酸のチカラで血行促進する。
入浴後は、じんわり温まり心地よい気分になります。
とても不思議な感覚なのですが、クセになるお風呂です。

夏はシャワーだけで済ませがちですが、ぜひお風呂を活用して、健康な身体づくりを心掛けてください。

 

参考文献
徳島新聞連載 薬草を食べる 薬学博士 村上光太郎
よく効く 薬草風呂 漢方医学 薬膳研究家 池田好子

筆者 CHIHO.hoshiyama 
ハーバルセラピスト バスセラピスト chiho

岐阜各務原にある創業25年の風呂屋「恵みの湯」で人気の岐阜産”伊吹薬草湯”に自身の不調を支えられた経験より、日本古来から伝わる植物浴の素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいという想いからHERB&BATHプロジェクトを始動。
入浴で身体を温める大切さを伝えるバスセラピストとして、植物の活用を広げるハーバルセラピストとして活動中。また、自社ハーブ農園にて農薬を使用せず様々なハーブを栽培しています。

温泉入浴指導員・
温泉ソムリエマスター     
JAMHA認定ハーバルセラピスト
JAMHA認定ハーブ&ライフコーディネーター
JAPHY認定 ハーブティーソムリエ

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