4月~5月が旬の和ハーブ~カキドオシ&スギナ~

4月~5月が旬の和ハーブ~カキドオシ&スギナ~

春爛漫の季節!自然の中にでかけて、野草を摘んでみたいなと思う方も多いかもしれません。

今回は、そんな時におすすめの和ハーブを2つご紹介させていただきたいと思います。

1つ目は香りがよく、和ハーブらしい野草「カキドオシ」を、2つ目はご存じの方も多く、雑草として苦労されている方もいるかもしれない「スギナ」です。

カキドオシとは?

漢字で書くと「垣通し」。シソ科の多年草で、日本全土の日の当たる路傍や山野に自生しています。
乾燥が好きではないので、適度に湿った土地や半日陰でよく育っているのを見かけることが多いです。

生薬名をレンセンソウ「連銭草」といい、民間薬として日本では昔から糖尿病や腎臓病に使われてきたようですが、別名「カントリソウ(癇取草)」といわれるように、こどもの疳の虫にもよいといわれています。最近では、血糖降下作用があることがわかり、注目されている薬草です。

ヨーロッパでも古くから民間薬として使われていたそうで、日本では斑入りの葉の種類が「グレコマ」として園芸品種として売られているのをご覧になった方もいるかもしれません。

カキドオシの特徴・見分け方

カキドオシ 花 5月
1.葉や茎を切って、香りを確認しましょう!洋ハーブのような香りがします。

2.茎を触ってみましょう!シソ科らしく、茎の断面が四角なので、指で触っても四角が感じられます。

3.花がつく頃は520cmほどの高さに直立しますが、「垣通し」の名がついたように、徐々につる状になって、垣根を通すぐらい、地をはいながら伸びます。

4.対生した葉の縁は波型に浅い鋸歯があり、柔らかく、しわがあって毛が生えています。丸い葉が連続してついている様子が生薬名の「連銭草」の由来になったそうです。

5.4月に咲く花の色は薄い紫から淡紅紫色で、唇形。萼は筒状なのが特徴のかわいらしい花です。

カキドオシの活用方法

採取時季は葉や茎が硬すぎない、4~5月がよいですが、生えている時季ならいつでも収穫できます。
カキドオシは香りがよいので、お茶や食べるだけでなく、様々な活用方法があるので、興味のあるものからお試しください。

・お茶
カキドオシの薬効をとりいれやすく、手軽に香りを楽しむなら、やっぱりお茶。
さっと洗って、フレッシュのままお湯を注げば、香り豊かなフレッシュティーに!
生のカキドオシを柑橘類のスライスなどと一緒に水に入れ、数時間おけば、さわやかなデトックスウォーターの出来上がり!
洗ってから日陰干しで、乾燥させたものを保存しておけば、いつでもお茶として楽しめます。

・お料理
カキドオシは西洋ハーブのような香りがあるので、洋食にぴったり!フレッシュでも熱を加えてもバジルのように使うと、美味しくいただくことができます。
カキドオシをクリームチーズに混ぜ込みベーグルとう一緒に
カキドオシのジェノベーゼ風
特にペペロンチーノ、ジェノベーゼ風ペースト、ハーブバター、ハーブチーズ、天ぷらなどがおすすめ。魚料理や肉料理のつけあわせにしても、ポイントになりかわいく、香りもよいです。

・入浴剤
日々の疲れやリラックスもできるといわれています。

・アイピロー
前回、ご紹介した「アイピロー」(目の疲れにぴったり!和ハーブ香るアイピロー – 湯癒草々 -お風呂とハーブのある暮らし- (yuyu-sousou.com))の記事でも紹介させていただいたように、乾燥したカキドオシの香りや薬効を活かして、アイピローに入れるハーブとしてご利用いただけます。

スギナとは?

漢字で書くと「杉菜」。夏緑性シダ植物でトクサ科の多年草。
ご存じのとおり、日本各地あちこちに生えています。日本だけでなく、北半球の暖温地域に広く分布しているそうで、私もスイスで見たことがあります。
スギナ 杉菜
スギナはどなたでもご存じかと思っていましたが、講座をしていると20人に1人ぐらいはスギナを見たことがない方もいらっしゃいます。どこにでもありそうですが、都会ではスギナは見かけないので、知らない方がいてもおかしくないですね・・・。

生薬名はモンケイ「問荊」といい、利尿作用などがあると言われており民間薬として使われてきたようです。“雑草”として困った草だと思われている方は特に驚かれるのですが、近年はミネラルの豊富さや、水溶性ケイ素も注目されており、お茶はもちろん、美容にもよいサプリとしても販売されています。

カルシウムはほうれん草の155倍、リン・カリウムは5倍、マグネシウムは3倍ともいわれています。
その姿形から、英名では「ホーステイル」と呼ばれ、ハーブとして扱われているので、「ホーステイルティー」としても売られています。

ツクシとの関係

ツクシとスギナの関係
前の年、スギナがつくった栄養分がでんぷんとなって、くきが変化した地下茎(ちかけい)にたくわえられています。この地下茎の栄養を使って出てくるのが、ツクシやスギナです。

栄養茎をスギナ(杉菜)、胞子茎はツクシ(土筆)と呼ばれます。
地面に落ちた胞子から芽が出て、「前葉体(ぜんようたい)」といい、小さなコケのような植物になります。この前葉体のオスとメスの卵と精子が受精して、生まれた子どもがスギナとして育ちます。

スギナの活用方法

スギナは茎がやわらかい4~5月に収穫するのがおすすめ。大きくなると、筋っぽくなって、粉などにしにくくなります。

・お茶
さっと洗って、陰干しにして乾燥させ、お茶と同じように淹れていただきます。
乾燥しただけは青く臭く感じる方におすすめなのが、乾燥させたものを乾煎りにして飲む方法。
フライパンで香ばしい香りがするぐらいまで、軽く炒ってから飲むと、とても美味しく、飲みやすくなります。

・料理
少し小さめで、開ききらないものが食べやすいです。
小さい出はじめのスギナは、少し塩を入れたお湯でさっと湯がいて、酢味噌和えやマヨネーズ和えで。少し大きくなったものも、天ぷらだとパリッと美味しくいただけます。
乾燥したスギナでふりかけ作り
乾燥したスギナをすり鉢やミルで粉末にして、そこに塩やゴマなどを入れると、ミネラルたっぷりなふりかけに!
塩だけ混ぜた、スギナ塩も天ぷらにつけたり、お豆腐にのせたり、抹茶塩のような風味で好評です。

・スギナチンキ・ティンクチャー
気になるお肌のトラブルや疲れ、元気がなくなってきた髪にもよいと言われているスギナ。基礎化粧品・頭髪用化粧品・浴用剤などにも配合されています。

1.ホワイトリカーやウォッカに対して、スギナを重量で1割ほど、ビンに入れて漬けます。
2.数か月したら、スギナを取り出し、スギナチンキの完成。
3.スギナチンキを1~10%ほどの割合で精製水で薄め、グリセリンを1~3%ほど入れると化粧水として使えます。

・入浴剤
お肌のトラブルによいといわれるスギナは、入浴剤としても使えます。乾燥したスギナをお茶パックや布袋に入れてお風呂に入れたり、やかんや鍋で煎じた液(濃いお茶)を入れるとよいです。

ただし、体調により、不具合の生じる方もあるようです。飲みすぎには気をつけ、持病のある方、健康上心配のある方は医師とご相談ください。


今回は、カキドオシとスギナについてご紹介してみましたが、いかがでしたか。

どちらも身近な野草であり、昔の人も活用していた、私たちの暮らしに役立つ和ハーブ。「雑草」といってしまえばそれで終わりですが、楽しく美味しく、生活に取り入れることで自然を見る目も変わり、それが豊かな生活にもつながると思います。この春、是非、カキドオシとスギナ見つけていただければとても嬉しいです。

 

参考文献
「和ハーブ図鑑」:古谷暢基/平川美鶴 《一般社団法人和ハーブ協会》
「食べる薬草事典 春夏秋冬・身近な草木75種」 村上光太郎 著  
「身近な薬草活用手帖」 寺島進 監修 誠文堂新光社
「薬草」 御影雅幸・吉光見稚代 著 保育社 
「家庭できる自然療法」 東城百合子 著 あなたと健康社

参考サイト
イー薬草・ドット・コム  e-yakusou.com
カキドオシ | 日本薬学会  pharm.or.jp

和ハーブとは
*一般社団法人 和ハーブ協会https://wa-herb.com/waherb3/waherb3/
では、「和ハーブ」を「在来種(日本原産)、あるいは江戸時代以前より日本に広く自生している有用植物」と定義しています。

和ハーブインストラクター 森林インストラクター

半谷美野子さん 
「人と自然をつなげる、伝える」ことがライフワーク。愛する自然を後世に残すため、多くの方に身近な自然の素晴らしさ、大切さを知って頂きたいという思いから、植物や生き物について五感を通してワクワクするワークショップを主に愛知、岐阜で開催。あいち健康の森薬草園にも勤務。
森林インストラクター、JAAアロマコーディネーター、和ハーブインストラクター
造園施工管理士、ビオトープ施工管理士、学芸員
Instagram:https://www.instagram.com/kinezumiya/

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